2012.12.06

【二次】タコヤキ=ボール アット ザ アンダーグラウンド【ニンスレ】

ツィッターで絶賛公開されている、サイバーパンクニンジャ小説「ニンジャスレイヤー」の二次創作小説です。 


 重金属酸性雨が降注ぎ、健康を害した月はどす黒く穴ぼこめいた姿をかれこれ十日以上見せてはいない。ここはネオサイタマ。
 ケブラー繊維のノーレンが汚染された雨を吸い、LEDボンボリの下で力なく垂れ下がっている。
 ムコウミズストリートの中でパンクスやジョックも近寄らない、イマドキから外れた時代錯誤の店、それがクトニアオオキイだった。
 
 
 ここはスシ・バーか? 違う。
 ならばドンブリ屋か? 違う。
 トウフデリバリーか? 違う。


 焼き目のついた丸いボールが綺麗なマスマティクスとなって灼熱した鉄板の上で転がされている。海産物のコウバシイ香り!!
 イニシエ、平安の世から伝わる日本のデント的ファストフード、ベストオブコナモノ、それがタコヤキ=ボールである。


「ヘイヘイホ、ヘイヘイホ」
 軒下の店主が目にも留まらぬテクニックでピックを使いタコヤキ=ボールをひっくり返す。
 ヘッドマウントディスプレイに流れるオイラン天気予報を眺めながら篭手返し。

 
「ソイヤ」回転。「ソイヤ」回転。「ソイヤ」回転。「ソイヤ」回転。「ソイヤ」回転。「ソイヤ」回転。「ソイヤ」回転。「ソイヤ」回転。「ソイヤ」回転。「ソイヤ」回転。
 サイバネ義手でもないのにこれだけのことを出来る者は多くない。ワザマエ!!


 タコヤキ=ボール。
 キョウト・リパブリックより伝わったもので、コムギコ粉末の中にトウフ、ベニショウガを練りこみ、その生地に、バイオタコの切り身が投入されている。ボール状に焼きあがるそれは、麻薬性はないが、そのトリコになった者は数知れぬ。ただ、ネオサイタマの地にはそれほど根付いていない。モッタイナイ!

 
「ドーモ。テンシュ=サン、ハジメマシテ。タコヤキを寄越せ」
 店主が手を止めずに眼球だけを動かす。軒先にいかにも、というヤクザモノが二人立っている。
 双方とも同じ顔で同じように流れるような動作でタンを吐いた。
 その後ろでサイバーサングラスに黒のスーツを着潰した男が煙草をしがんでいる。
「ドーモ。エーラッシェー」高速でバンブーフネにタコヤキ=ボールが盛られていく。  
 六個入りで三百円。スシ・バーでスシを三皿食べられることを考えるとそれなりに高い。
 それを三フネ。


「ザッケンナーラー!! ドクサレタコが!!」
 湯気を上げるフネを受け取りざま、地面に叩きつけてからヤクザがまたタンを吐いた。
「ンナオラ。何度も言わせんなコラ」
「私のボス、モットスゴイ希望している。アー、この土地全部、ジアゲしちゃってマルモウケ」
 店主にとってはチャメシ・インシデントだった。ヤクザやヨタモノに因縁を付けられていちいちメクジラを立てていては一国一城のアルジはつとまらない。
「なぁ、テンシュ=サン。ここだけ歯抜けになってるんだ。分かるだろ、この土地だけだ」 


 ジアゲ屋である。
 店主はヤクザから目を落とすと再び、生焼けのタコヤキ=ボールを回転させ始めた。
 無論、自分の土地がヤクザ・テリトリー内に存在していることなどコンセントなことだ。
 だが、何処にいる、一城をまんまと取り上げられる奴なんて。店主はそんなヒョットコではなかった。
「インガオホー」ヤクザは懐に手を突っ込んでチャカを取り出しタンを吐く。 


「ドーモ」
 ヤクザ組の横から声がした。草色のトレンチコートに酸性雨が撥ねる。ハンチングを目深にかぶったその男は続けて言った。
「タコヤキ=ボールは一フネ何個ですか?」
「六個です」
「それじゃ、一フネ。それとアッタカイサケを」
「エーラッシェー」
 男は寒そうにトレンチコートの襟をそばだて、高速回転しながら焼きあがっていくタコヤキ=ボールを見つめていた。


「サラリマン? ンダコラ?」ヤクザモノが腰をかがめて男を下から睨んだ。コワイ! ガンツケである。
 普段なら、この動作で大抵の者は失禁するが、あいにく男はキカクガイなことをヤクザモノは知る由もなかった。当然である。ソウカイヤに通じるものであればこそ、マッタンのヤクザの悲しいところだ。
 また、ソウカイヤにツテのないしがないジアゲ屋の男も同様だった。


「今夜も冷えるね、テンシュ=サン」
 男は「正直安い」と彫り付けられたトックリを渡されるとオチョコに注いであおった。
 立ち飲みこそ、冷えきったウシミツアワーの楽しみである。「スゴイウマイ」その間、ヤクザモノは渾身の右フックを男のボディに放っていたがかすりもしなかった。「アイエエエエ?」ヤクザモノはまたその横でチャカを弾こうと軽すぎるトリガーを引いた。だがかすりもしなかった。「アイエエエエ?」
 ジアゲ屋も首をかしげ呟いていた。「アイエエエエ?」


「スッゾオラー!!」
 からぶったパンチをいぶかりながらも水を差されたヤクザモノはモーゼンといきり立ったが、男も店主も意に介さなかった。
 ヒットしなかった弾丸をいぶかりながらも水を差されたヤクザモノはモーゼンといきり立ったが、男も店主も意に介さなかった。
 

「それじゃあ、オアイソしておきます。ここに五百円を一つ」コートをひるがえしつつ、男は視線を店主に放りやったが、返ってきたのは「オオキニマイド!」のこだまだ。
 男は去った。店主の動作から器量を見極めたうえでのフジキド……いや、ノントラブルが信条のイチロー・モリタらしい立ち居振る舞いである。


「なんだ、あいつ。ワッケワカンネエ」「さあな、ワッケワカンネエ」
 顔も仕草も相似しているヤクザモノが同じように震えていた。寒さゆえではない。コワイ!
 一人はからぶった右コブシをさすりながら。一人は煙を漂わせるチャカの銃口を見つめながら。
 それもまもなく。ヤクザモノ二人は最初の目的を思い出し、われに返った。ジアゲである。
 ジアゲボスは金と権力が欲しいだけだ。アラゴトの役には立たない。


 ヤクザモノはLEDボンボリをワンツーパンチで粉砕し、ノーレンの架かっているバイオバンブーを引き抜き、斜にかまえ、そしてタンを吐いた。
「ワッハハハハハ。感傷的な光景だな。実際早い!!」「そもそも早い!!」
「ドーモ。死んだら終わり。私のジアゲのお金いらないです。チャメシマエ。ヤッチマエ!!」 
 韻を踏んだジアゲ屋の怒号が飛んだ。
 

 バイオバンブーが振り上げられ、振り下ろされる。チャカが構えられ、トリガーが引かれる。
 ボンボリが消え薄暗くなった店内で、店主はピックを高速回転させている。
 DOGAGAGAGA!! BTOOOOOOMM!!


「へっ、ざまあねえ……って……オボボーッ!?」
 ジアゲ屋はタコヤキ=ボール屋「クトニアオオキイ」の軒先が、
 サイバーサングラスの向こうで破壊され、粉砕され、千切られ、粉々になるのを見た。
 いや、幻視した。そして嘔吐した。ジーザスガカマユデニッ!! 
 ジアゲ屋のサイバーサングラスにタコヤキ=ボールをつまむツマヨウジが刺さりグラスにひびを入れていた。粉砕! 絶対安心の防塵、防弾加工なのに!? その上、IRCでこの事を伝える手段も無くなった。


 左右を固めていたヤクザ(経費をケチった所為だ、クーロンヤクザY-10型)二人はジアゲ屋よりもっと悲惨な運命をたどっていた。
「明朗会計」「食材確保」店主が装着しているヘッドマウントディスプレイの鏡面にLEDの文字が明滅し流れていく。そして……店主が鉄板の上でオケストラの指揮者のようにピックを躍らせたのだ。
 

「イヤーッ」高速回転。跳ね上がったタコヤキ=ボールがヤクザの腕にめり込む。「グアーッ!!」
「イヤーッ」高速回転。「グアーッ!!」「イヤーッ」高速回転。「グアーッ!!」「イヤーッ」高速回転。「グアーッ!!」「イヤーッ」高速回転。「グアーッ!!」「イヤーッ」高速回転。「グアーッ!!」「イヤーッ」高速回転。「グアーッ!!」「イヤーッ」高速回転。「グアーッ!!」
 

 瞬きをするごとに、タコヤキ=ボールが口当たり柔らかなコナモノにあるまじく、まるで弾かれたベアリングボールのようにヤクザの腕といわず、顔や胸に撃ちこまれていく。さながら卓越したガンスリンガーの所業である。ものの数十秒でヤクザモノは繊維をまとった、ただの肉塊と化した。 
「アイエエエエエエ!! オマエは一体……?!」
 何者なんだと続けようとしたが、ジアゲ屋は最後まで言い遂げられなかった。
 後を追うように、地上げ屋も肉塊と化した。


「沢山撃つと実際当たりやすい」
 真理である。であるが、それを実行するのは容易いことではない。
「あの者らを殲滅する許可を私に……」ヤスイサケに酩酊しているかのように熱い息を吐き出し、店主は独りごちた。
 誰あろう!! トヨトミ=クランに属し、ヒガシカタを恨みながら死んでいったかつてのグレーターニンジャ、ミツナリのソウルが店主には宿っているのだった。  
 

 ひとえに、タコヤキ=ボール屋「クトニアオオキイ」がヤクザモノの手にかからず存在しているのは、ミツナリのソウルが持つ意志のためゆえである。店を襲撃するヤクザモノはすべからく同じ運命をたどる。
 店主が店から出てくる。ソウルはもう姿を消していたが、独りの狂ったタコヤキ=ボール・ジャンキーと
ミツナリとを、どうやったら区別出来るのか。否、常人には出来やしない。


 店主は、三人の(いや、もはやバイオミートと呼ぶのが相応しい)身体を引っつかみ、苦もなく店裏まで移動させるとニュルニュルと軟体動物が蠢く巨大水槽にぶち込んだ。店主自慢のオーガニックタコ、クトーニアンの生け簀である。オタッシャデー!!
 慣れた手つきでの後始末である。こうして幾多のヤクザモノ、ヨタモノ、ジョック、ヒョットコが言葉を残すこともなく、姿を遺すこともなく、闇に消された。
 時折襲撃に来るヤクザモノなど、クトーニアンの餌だ。こうして、店主は、ネオサイタマをタコヤキ=ボールでわが世のニルヴァーナに。そしてミツナリはヒガシカタを討伐し天下を獲るという野望で合致していた。
 平安より伝わる名言、アブハチトラズとはこのことである。

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ミナソコノ住人限定復帰

ごきげんよう、甲斐ミサキです。
ココログ……ブログ更新から5年以上経つのか……。
主な活動領域をmixiに切り替えてから省みなかったのですが、
なんか
すごい荒れている(´・ω・`)
IDとパスワード引っ張り出して、復帰後最初に行なったのはスパムの削除でした。
とりあえず、2012年12月現在、
創作の場は

シェアワールド@霧生ヶ谷市企画部考案課
http://www27.atwiki.jp/kiryugaya/

mixi ←甲斐ミサキ で検索

ツイッター←甲斐ミサキ で検索

となっております。


ミナソコノ住人復帰理由は、新規小説の投稿の場所です。
「ニンジャスレイヤー」の二次創作小説の投稿がメインとなります。

それでは、ハイヨル☆コントン!!

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2005.08.02

*(アスタリスク)とか空白行とか

ネットノベルでは、ウェブスペースを広く用いられるし、*や改行を多用しがち。
言わずもがな、
で文を区切ったり、改行あけすることで場面転換が容易になるし、間を置いたり、リズムをとったり、次にくる一行を強調してみせることも出来るのはテクニックとして「あり」なんだとは思う。
とはいえ、ライトノベルでいうところの「見た目、ページが白い」っていうやつに近いのかもしれないけど、ついつい空白行を多用した小説をウェブにあげると、やたらと細切れになってしまうように思えて……。
多分に視覚的な効果を狙う意味合いもあるってとこに、インターネットで読む小説は「ネットノベル」という特有のものであって、「紙媒体」小説とは若干の立つ位置の違いが見える気がします。
……(悩む)。
って、小説書いててふと思ってしまったのが運の尽き。
ここって、あんまし悩むところじゃないのかなぁ。
ラヴクラフトの小説で空白や*みたことないしなぁ。俗に言う「ページが黒い」って奴です。グロイジャナイヨ
倒置法や体言止めのように確立された手法とは別分類に属するような気がして。
*や空白行あけは、純粋に小説を書く上での手法とは言いがたく他にやりようはあるんじゃないか、と。
いや、全否定するつもりなんかじゃなくて。甲斐の場合、そもそもただでさえ短い短編小説にそんなテクニック用いたら細切れ豚肉みたいになっちゃうやーん!
今書いている小説では*も※も空白行も用いずに書き上げようって縛りを自分に課して、目下のところ、四苦八苦してる最中です(ダメダメやん)
これが思いのほか強敵です。場面転換ってどうするんだっけ……orz
ああ、なんて便利な*と空白の一行よ。その誘惑には負けない。でも、……負けそうだ。・゚・(ノд`)・゚・。

訪問してくださってる皆さんの、反論やツッコミ等々ステキなご意見お待ちしてる次第ですm(__)m

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2005.07.26

縦書きのススメ

ようやく再開していた小説の進行ほったらかしちゃって、今は新しい小説を書いてます。
頭から小説を書くってこと、最近してなかった(「雨と檸檬」はリライトなのだ)のでこれも腕慣らし。
というか、浮かんだときに書かないと忘れちゃうってのが最大の理由。大体備忘録や覚書作っても、あとで読み返すとなに書いてあるのかさっぱり分からん罠……orz
小説書く衝動って他にも暗黒フォースのささやきというか(まだ観てない)

さて、ココログで公開する前に一度友人に小説を読んでもらってるんだけど、その友人はエディターでわざわざ縦書きに変換してから読んでいるって話してました。その方が臨場感あるというか、やっぱ小説は縦書きで読むもんだろうしねー。
というわけで、書いてる間だけでもその醍醐味を味わおうと、実験的に縦書きエディター導入してみました。今までお世話になったワードはしばらく封印。

で、導入してみたのがこれ→テキストエディタQX
QX32
←画像は「雨と檸檬」を縦書き表示してみたもの。
物を書く人間にとって、使えるエディター探しは命題なのだけれど、このソフトはなかなかの使い勝手。
というか自分の小説が縦書きでびょーんと表示されたのが嬉しい嬉しい(〃▽〃)
自分なりの設定にするまでの手間はあるけど、原稿用紙1枚相当の文字数のところで罫線を引いてくれたりして一目でどれだけの量打ったのか分かったりする親切設計が使えます。これ(・∀・)いい!!
縦書きの感触が懐かしすぎです。以前は縦書きがしたくてわざわざワードプロセッサを購入したんだっけ。今では手に入らなくなっちゃったレアモノ(レアなのか?)。

それにしても、と思う。
モニタ上の自己満足なのかなぁ。ココログにアップしたら結局は横書きに戻っちゃうんだから……。

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2005.06.28

小説分が足りてない

空梅雨です。(;´ρ`) グッタリ です。
棲んでる街では梅雨宣言があってから、申し訳程度に2日降ったくらい。
魚たちが半ば野生化している庭のスイレン鉢もけっこうヤバイ状態です(一匹、干物状態で発見ナム)。
てことでクーラー全開ですよ(家族には内緒。いや、気付いてるだろうけど……)

さて、意図的にサボってるというか、ミナソコの記事は小説関連になるべく絞ろうってカセをはめているだけに、近頃さっぱり記事がないわけですが。
例えばカセを外すとしたら、阪神の背番号31番(応援してるで濱ちゃん!)をヲチするとか、X-FILESDVDコレクション(地味に皆勤で購入)の感想文とか、飼ってるわんこの生態(これはこれで面白い?)を暴露とかになっちゃってキリが無くなりそうなので、やっぱし止めときます(´ヘ`;)

さて幾人かの、ブックマークしてくださっているコアな皆さんへ。報告がてら、小説の進行状況を。

1.「エクシステンチア」
 依子と比奈子のお話。以前に公開した「振り向くな」の裏面的な物語。怪奇、オカルトとまではいかないものの、日常的、というより非日常なお話。題の意味は哲学用語で『実在・存在』といった意味。今のところ、18,370字。400字詰め原稿用紙で換算するとほぼ46枚。

2.「パラノイアズキッチン」
 アメリカの沿岸部の街を舞台にしたスプラッタホラー。これは思い余って日本の漁村に変えたりするかもで、大分と混沌きたしてサン値がエライことに。モチーフが大好きなクトゥルー神話だけあって収拾がつかなくなって来てます。内容が内容なだけに自主的年齢規制するかも。連載も考えたのだけど、前後の辻褄に困るのは厭なので(ビミョーに完全主義)完成後、分割掲載になりそうです。現在、30,730字。400字詰め原稿用紙で換算するとほぼ77枚。ウハー 


どっちも分割掲載した方がいいくらいの分量で、公開にまではこぎつけず。煮詰まってればいいのだけど、実際は「行き詰まっちゃって」るので皆さんしばらく(数ヶ月ってノリなのはお許しを)お待ちくださいm(__)m
まぁ予定は未定ですよと伏線張っておきますです。

ということで、次回作「雨と檸檬」は近日公開。


※追記:メールアドレスを公開します。スパムは何卒ご遠慮くださいませ。

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2005.03.26

《ネットノベルパーフェクトガイド》について

短編小説《カモナ-ヘルハウス》を紹介してくださる書籍、《ネットノベルパーフェクトガイド》の発売が決まったそうなので、詳細を報告。
実は一時期、この本のことについて書いたら「情報は非公開に」と編集部の方に釘刺されて、該当記事は撤収させていました。・゚・(ノД`)・゚・。 (ちょっとだけ凹んじゃったい)
んでは改めて、おおっぴらに公開。

販売元はパソコン関連書出版の《株式会社ラトルズ》さん
タイトル:ネットノベルパーフェクトガイド
定価:1,200円
発行:3/18(配本に時間が掛かる為発売は24日頃の予定)

ということはもう流通してるのかなぁ(Amazon)では検索に引っかからなかったのが気になるといえば気になる(T^T)
見本誌自体がまだ手元にないので、1200円と言う値段が高いかどうかは分からないけど、本屋さんで見かけたらニヤリとしてやってくださいm(__)m

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2005.02.16

普遍的な無個性

トラバを頂いた「文字書きわーるど♪」さんの「人称の扱いについてのあれこれ・・」に対して、またもや考察。以下はhiroさんの記事から引用。

描くとき意識しているのは、物語の背景をあまり詳しく描写しすぎないこと(そのほうが読んでる人が感情移入しやすいかなと・・。)。と、物語の筋そのものより、登場人物の個性を生かすことを考えながら書くこと

おっしゃっているのは、人物の相関図などの小説の背景といった意味合いと捉え、それとは多少ずれるのですが以前、
「甲斐の書く小説は風景画やね」って言われたことが。
情景描写がやたらと多いことを指摘されたのと、登場人物の個性よりもプロット自体を重視している書き方になってしまうので、人物が無個性になりがちで、風景の一部や記号のようになってしまうみたいです。hiroさんとは真逆。
舞台に例えるなら、動き回る俳優ではなくて、オブジェや、舞台装置のような扱い方といったところ。
どうやら、これまでの読書遍歴に要因があるらしく、すぐに短編書きやショートショート書きならば、神にも等しい1人の偉大なるショートショート作家の名前が脳裏に浮びました。
そう、星新一氏です。
「エス氏」や「エフ博士」といった人物の名前を記号化し、一般に考えられる小説観とは随分と異なる、星氏の無個性といえる描写の必然性について、星氏のエッセイ、「人間の描写」から長い引用をさせていただきます。
「いつのころだれが言い出したかは知らないが、小説とは人間を描くものだそうである。奇をてらうのが好きな私も、この点は同感である。評判のいい小説を読むと、なるほどそのとおりである。しかし、ここにひとつの疑問がある。人間と人物とは必ずしも同義語ではない。人物をリアルに描写し人間性を探求するのもひとうの方法だろうが、唯一ではないはずだ。ストーリーそのものによっても人間性のある面を浮き彫りにできるはずだ。こう考えたのが私の出発点である。
 もっともこれはべつに独創的なことではない。アメリカの短篇ミステリーは大部分このタイプである。人物を不特定の個人とし、その描写よりも物語の構成に重点がおかれている。そして人間とはかくも妙な事件を起こしかねない存在なのかと、読者に感じさせる形である。おろかしさとか、執念のすさまじさとか、虚栄の深さとかがそれでとらえられているのである。(中略)ある人には歓迎されたが、はじめのころは<話は面白いが、主人公の年齢や容姿がさっぱりわからぬ>と首をかしげた編集者もあった。(中略)
 すなわち人物描写に反発するあまり、主人公がほとんど点と化してしまった。私がよく登場させるエヌ氏のたぐいである。(中略)また、なぜ名前らしい名を使わぬかというと、日本人の名はそれによって人物の性格や年齢が規定されかねないからである。貫禄のある名とか美人めいた名というのは、たしかに存在するようだ。(攻略)」

もちろん、これは短篇や、ショートショートに当てはまる考え方だと思います。
長篇であるなら(新本格派推理小説作家のようにトリックが全てだ! だなんて仰る方は星氏の系統ですね)、プロット組みと同じかそれ以上にキャラ立てをしっかりするべきだと思うし。
……人によっては登場人物の履歴書を作ったりもするらしいです。ホントなんでしょうか。

甲斐は、星氏ほどに悟ってはいないので、登場人物に名前はつけてと言いたいところですが、一人称を《僕》と決めたら、その彼には名前がよっぽどのことがない限りつかなかったりします。ずっと《僕》。
……え? まさか名前を考えるのがメンドクサイだなんて思ってませんよ^_^;


(この記事は文字書きわーるど♪さんとるるが株式会社さんのお二方にトラックバックさせてもらってます。小説談義は相手あってこそ花が咲くもの。感謝)

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2005.02.15

思わぬ伏兵《一人称》

聞くところによると、甲斐の書く小説群はプロットや小説内容に沿って、文体を色々変えているので一見さんにはまさか同一人が書いているとは思えないらしいです(ある意味成功?)。
通して読むと同じ言い回しやら似通った単語(例えば「名状しがたい」「這い寄る混沌」……趣味丸出し)が出てくるので、すぐソレと知れるそうですが(笑)

ところで、甲斐の頭を悩ませているのが人称の扱い方。
三人称と一人称、どちらが書きやすいかは人によると思うけど、特に苦手意識はなし。
贈り物製造機」では、

おっと顔は見ないでくれよ。まぁ見られたからといって困るツラじゃないがね。しかしお前さんもよくオレ様の居場所が分かったもんだ。なに! そうか……あのバーサマかい。喋りな奴だよ。一遍絞めとかなきゃね。いやいや、別に殺しゃしないよ。お灸をちっとばかし据えるだけさ。

と、語りかけ口調の対話形式で進行。
カモナ-ヘルハウス」の冒頭では、
余は思ふ。生れ落ちたとき既に、余は此の屋敷に居たのだと。故に此の屋敷の主であるのだと。余に名前など無い。此の屋敷に於ひて余が全てであり、余に分からぬことなどないのであるから。名など余にとつては必要としないものなのだ。此の屋敷はいつからあるのだらふか。心無い輩どもが屋敷のことを猟奇の館などと呼称してゐるのを耳にした憶えがあるのだが、余の創造主は其の名を甚く御氣に召してゐるやふだ。

プロットの関係上、館の主の独白をを文語体に。

メッセンジャーで、小説談義をしていて気づいたのだけど、今、書きあぐねている小説の主人公について。
Tさんが「こんな中学生いたら無条件で張り倒してやる!」とのひとこと。
……無条件で張り倒されるのは御免なので、そのわけを訊ねると、
Tさん曰く、「どんな状況でも冷静に描写し、小難しい言い回しをする中学生は嫌だ」やら「無自覚な虚無加減は信用できなーい」とか。
あー、なるほどと。書いていると自然でも、読むと不自然に見えるのかも。目からウロコ。
文月の頃」もなるべく意識して書いていたのだけれど、何を意識していたかと言うと、

小学生の一人称であるなら、その年齢では習わない、もしくは使わないだろう漢字や言い回しはなるべく避ける。

実際のところ、小学生を意識した文体がどれだけの効果を出しているかは測りかねています。例えばるるが株式会社のるるがさんはリアル小学生でありながら豊富な語彙を駆使して小説を書いてらっしゃるし……。

でまぁ、今回の小説で齟齬をきたしている一番の理由が、「僕」の語る情景描写に全ての原因があると思われ、一人称でたんたんと怪奇描写を成し遂げる中学生ってどんなだ、と(次回UPは、怪奇小説)。
例で一部を取り上げてみる。

木壁は全体的に煤けて、せいぜい特徴的なものといえば、地面との接合部分を、怪奇小説的に気取って例えるなら、アメーバのように毒々しい緑色を纏った銭苔が襤褸衣のごとくこびりついていたぐらいだ。木壁に浮かぶ自然のデザインである木目もこの表現が正しいのか分からないが、至って普通だった。

……中学生が情景を説明する独白にしてはくどい気がする。
いっそのこと三人称に切り替えてしまえば、《神視点》で複雑怪奇な描写書きまくりなんだろうけど。
苦肉の策で、主人公を読書家(主に怪奇小説)の少年にしてみました。
自分が直面した状況を回りくどく、怪奇小説(某ラヴクラフトのような)風に説明しないではおられない少年。
カッコイイ!!

えーと皆様。小説を書くとき、「人称」の扱いについて心がけていることなどあれば、教えてくださると嬉しいです。

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2005.02.07

ネット小説の書籍化に潜む罠

ここをココログ小説書きの《キーステーション》と仰ってくださったKOFさん運営の纐纈城書庫から興味深いトラバを頂戴したので、紹介。

ココログ小説書きメモ「いちおう、気をつけといたほうがいいこと」

詳しくは上記記事を参照していただくことにして。
甲斐も、過去に書いた小説を掲載するべく、時には推敲の繰り返し(というか大幅な改稿)を行ってるわけですが、書いた小説を名のある賞に投稿してみようとか出版社に持ち込みだ! という気焔はなく(ないのかよ)、ただネット小説ランキングにささやかな登録をすることで、1人でも多くの方に作品を読んでもらって、出来れば感想を頂戴できたら嬉しく思う、こう考えていました。
先日、ガイドブックで紹介のお話を頂いて、「書き続けていれば、たまにはこんなこともあるのか。ネットって素晴らしー」と甲斐ははしゃいでいましたが、欲目とは言ったもので、そんな功名心をたくみに付け狙ったネット詐欺が横行している、とKOFさんが記されています。下記引用文
ある出版社の息子さんとやらから「私のサイトに連載を持ちませんか? これから出版社を立ち上げるので、人気次第では出版します」と言うもの。メールに記載されていたサイトをチェックし、ついでにメアドでぐぐってみたところ・・・・・・その方の別ページの掲示板を発見。
「16歳」と言う年齢が書いてありました。
 なにがなんだかよくわかりませんので、スルーしました。

KOFさんが言っておられるのは、「まずなんでも《ググるgoogleで検索するの意)》」
大抵のものが検索単語で引っかかってくると思います(もしくは団体名自体引っかからないとか)。
例えて言うなら、「ネットオークションで手頃な品物を見つけたので落札し、代金を振り込んだけれど、一向に商品も連絡も来ない。そこで商品提供者《○□太郎》の名前でググってみると、『悪質詐欺師《○□太郎》被害者の会』ってサイトが数十件も出てきた!」とか。
再び、KOFさんの記事から引用
正面から「自費出版をやりませんか?」というものであればいいのですが、「貴方の作品世界を全国に~」なぞと言う誘い文句で接近し、最終的な説明会などで100万200万と言う金額での自費、または共同出版のセールスに持ち込むと言う業者もいくつか存在するようです。自費出版、共同出版そのものが非であるなどと言うつもりもありませんが、「そういった目的」で「そう言う目的を隠して」接近してくる業者と言うものが存在します。

KOFさんも触れておられますが、協力出版、自費出版に関してもこんな報告(早速ググってみました)。
自費出版のQ&A「協力出版」という名の たくみなワナ
探偵ファイルスパイ日記から:賞レースに潜む罠
ある自費出版社は自ら賞レースを主催し、応募者の殆どに入選・佳作などを受賞させ、次に「このままではもったいないので、ぜひ協力出版で本にしましょう」と話を持ち掛ける。(中略)受賞の現実にほとんどの人は舞い上がってしまい、出版を提案されれば契約までしてしまう。
しかし、書籍の位置付けは自費出版と同様なので、当然ながら営業も自分でやらなければならない。
出版・流通に関する知識の無い一般人は、高額な出費をしただけで終わるケースが大半である。
売って儲けようという考えではなく「作って儲けよう」というのが自費出版社なのだ。

上記リンクに目を通すとネガティブ思考のスパイラルに陥ってしまいそうですが、甲斐もKOFさんと同じく、上記の出版形態について是非を問うものではありません。
良い出版物であれば出版社のほうから「協力出版」ではなく、いっぱんの作家と同じ待遇で出版の話が舞い込んでくることもあるので。メディアを通して話題になり、ブレイクした本も実際にあるわけですし。
皆さん自身が考慮されるきっかけになれば、それと甲斐自身の気持ちを引き締める意味合いでもエントリ。

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2005.01.31

ココログ小説掲載数が200件

 このたび《ココログで読める小説群》の小説リンクがめでたくも200件を突破しました<(_ _)>
 ほぼ一年(とちょっと)での到達です。
 前回の100件達成時の記事でも記しましたが、小説カウントは表題の数でしているので、連載を含めるともちろんもっともっと多い数の小説をココログで読むことが出来ます。
 さて25サイト掲載の内訳はというと、

■短編・SSサイト:10件 ■長編・連載サイト15件

 単純にサイト数だけで見ると長編・連載サイトさんが多いと思えるのですけど、どっこい、小説の本数からいえば、短編部門の圧勝なのです。
 もちろん、長編を扱っておられてる方が短編を書かれたりして一概にどうとは言えなかったり;;
 ∑∑過去記事参照したら、閉鎖サイトを削除したせいか、以前よりもサイトリンク減ってる罠(滂沱の涙
 ……。
 さて、ここで改めてココログ小説を募集したいと思います。
 以前はココログル検索で、小説サイト様の発掘、掘り出しを行っていたのですけど、如何せん動力が乏しいものですから。
 出来ることなら、黄金の蜂蜜酒(500mlペットボトル入り)をラッパ飲みして、リコーダー吹いて召喚したバイアクヘーにまたがって、物理法則無視した移動手段であらゆる小説サイトに突如出現してみたい(迷惑だってば
 もとい、皆さんのお力をお借りして、
 今までサイトリンクを張らせてくださってる方々はもちろんのこと、自薦、他薦を問わずにコメントやトラバしていただければ、ココログ小説蒐集家の名に賭けて(誰がそう呼ぶ?!)すぐさま登録作業に勤しみたいと思います。
 なお、日々の更新履歴はミナソコノ住人BBSに記載してありますので、ご参照ください。

 ……とりあえず、甲斐の身体に巣食う《ナマケモノ》を誰か狩り尽くしてくれへんものかなぁ。

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