棲み潜む恐怖

[Descent]ディセント
気分だけでも涼みに呪怨2以来、久しぶりにホラー映画を観てきました。ラインシネマに行くのって何年ぶりだろう。レイトショー専門の甲斐にとって、通常料金で映画を観るのはかなり違和感があるのですが、だって近くのワーナーマイカルじゃ上映しないんだもんなぁ。がっくし。
Story
年に一度の冒険旅行に出かける6人の女友達。その中の一人、事故で家族を失ったサラを励ますために企画され向かった先はアパラチア山脈奥地の洞窟だった。が、突然の落盤で出口が塞がれ閉塞した空間に閉じ込められてしまう6人。圧迫する暗闇の中、出口が分からない。それもそのはず、その洞窟は本当は旅行の企画者、ジュノが功名心に駆り立てられて皆を騙して連れてきた名も無き洞窟なのだった。出口を探してさ迷うも、次第に言い争いが募り仲間割れが起きる。そんな中、謎の壁画、そして先行者が残したと思われる矢印を発見する。一縷の望みを得た彼女たちは先を急ぐが、予期せぬおぞましき恐怖が待ち構えていた……。
……
ネタバレするので、これから先は自己責任で。
……
……
絶叫アトラクション・ムービーの呼び声は伊達じゃなかった。
冒頭のシーンでいきなりスプラッタ。もう観るからに「駄目やな」と思う対向車。鉄パイプが刺さる刺さる。この辺りから結末へと続く伏線になってます。
最初、ジュノのロッジに6人の登場人物が集まる場面で「ちゃんと顔の見分けが出来るかなぁ」とちょっと不安になりながら注視。えっと主人公がサラで、訳ありの黒髪がジュノ、一番若そうなのがサムで、ショートヘアがホリー、サラと仲良しがベスでサムと仲良しがレベッカと……結構追うの大変でした。
地下3000メートルは言いすぎと思いながらも、彼女らが、洞窟の底から天井を見上げ「ビュリホー」と言うのを聞いて、思わず「足元足元」とツッコム。先日観たNHKのプラネットアースの洞窟特集で「地面は蝙蝠の糞の山で、それを食料に無数のゴキブリが集まってくる」光景を観た後だったので。甲斐は洞窟の暗さに耐えられてもゴキブリの大群には耐えられそうにありません。
蝙蝠の大群に襲われるシーンなんかは洞窟やしなと観てたのですが、はしゃぎ気味のホリーが暴走してヒャホーと洞窟内を駆けていって落下する場面はグッときました。単なる骨折ならまだしも、開放骨折(皮膚から骨が露出)は見るからに痛そうで、露出した骨をこのままじゃ添え木出来ないからと医学生のサムがえいやっと引き戻すシーンがもう駄目。ああいう骨折だけはしたくない。
前半は、落盤し閉じ込められた6人が感じる闇の圧迫感や閉鎖感、丁寧に窒息感が描かれ、映画館の暗さもあいまって何だか息苦しさを感じたものだけど、途中、発火灯に照らされ洞窟に浮かび上がる壁画を発見した辺りから雰囲気がころっと変わる。
ライターの炎で微かに感じる気配。気付けば何かに囲まれている6人。
というわけでこの映画のサプライズが地底人。地底人といえば、ハネス・ボクの描いた「食事する食屍鬼」が浮かぶのだけど、この映画に登場する地底人はアルビノでかなり気持ち悪い。ビジュアルで言えば、指輪物語のゴラムっぽい感じ。元人間ぽい。長年棲み潜む生活で目が退化しその代わり聴覚が発達している。その設定は分かるんだけど、動かない人間には気付けないっていうのはどうか。地底人は洞窟の外に出て鹿などの狩りをしていたような描写があるのだが、それならもうちょっと目鼻が利きそう。
さて、まっとうなホラー映画ぶりを表すようにゴア度数(食人度)はかなり高め。内臓系のグロテスクさは無いものの出血が大量。地底人の餌場があって、すぐ傍に犠牲になった獲物が流したと思われる血液溜まり(溜まり過ぎ)があって、主人公は血の池に潜行して地底人をやり過ごしたりする。もう主人公真っ赤っかです。
主人公が女性で、ホラーときたら、ただ成す術もなく餌食にされてしまう印象があるけど、この映画に限っては女性は強い強い。例えるならそう、アマゾネス。ピッケルを振るい、ナイフをかざし、時には動物の骨で殴りつけ、地底人の眼窩に指を突っ込んで目潰し! もう極限状態におかれて何かに覚醒したとしか思えない(約2名)。「ごめんね」と謝りながら、サラが餌場に放り込まれたホリーの死体から包帯と添え木のピッケルを松明用にと取り上げる場面は何としても生き抜いてやるという心構えが伝わってきてなんだかしみじみ。
とはいえ、
棲家に侵入されて虐殺される地底人カワイソス……。
スプラッターシーンにばかり目が行くけど心の業も、一種のテーマ。
地底人との交戦中に誤ってベスをピッケルで刺してしまい、発覚を恐れその場を見捨てるジュノ。洞窟発見という功名にはやったジュノを自業自得と振り切り独自に行動するサムとレベッカ。死の間際にジュノのことをサラに打ち明けるベス。そもそもサラの家族を亡くした原因、トラウマを作った原因を知り吹っ切れるサラ。 ホリーは……なむ。
エンディングについて。色々物議を醸しているし、アメリカ公開版ではエンド場面が異なると聞きましたが、サラの脱出は夢だった、そう思います。その方がホラー映画っぽいし。事故で亡くなった娘とのバースデーケーキは一線を踏み越えてしまった証拠なのかな。
それにしても、幽霊(幻視)物、愛憎劇、スプラッター物、モンスター物と中々種類に富んだ映画で、心理的描写、即物的描写分け隔てなくB級心が満足した夜でした。
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