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2005.02.22

短編小説:聲が聞こえる

 僕はときおり、世界を巡る旅にでる。それは地球にかぎらない。
 灰色の石造都市、花崗岩都市、大理石都市、月の湿原、赤いアルデバランにキングスポート……。
 ラヴクラフトは夢で観た情景を小説に昇華するといい、つかの間僕も、夢の旅のご相伴にあずかるのだ。
「君のほかに誰が読むっていうの? もう……はいこれ」
 しぶる司書さんを口説き落として、ようやく入荷したラヴクラフト全集を片手に僕は教室を抜け出す。
 さて、誰にでも一つぐらいは特別な場所を持っている。と思う。憩いの場所であったり、思い出深い所とか、何かしら思いつくことだろう。
 花火を見上げた河川敷、人の集まる繁華街、夕焼けに染まる公園、放課後の教室……。
 僕にも秘密の読書空間がある。そこは第一校舎の、南側にある生徒たちの利用する通用門を横手に抜けたところにあった。
 少し奥まったところにフェンスが張ってあり、一部の金具が腐食してめくれ上がっている、その内側がちょうど中庭のようになっているのだ。
 その場所はほとんど誰にも知られていないらしい(と僕は勝手にそう思ってる)。めくれた場所が一見そうとは分からない。というのも校舎側と中庭を隔てているフェンス自体を姫葛が我が物の如く蔓をくせっ毛のように絡み、巻きつかせているせい。どうも旧校舎が元々あった場所みたいで、弟切草や待宵草などの、夏草のむせかえるような草いきれに包まれ、建物の基礎部分と木造の小さな体育用具室がそこには残っていた。
 
 白いサマーセーターは見慣れた先客の姿。気にせずにいつもの場所に陣取る。
 膝元にはウィンナードッグとツナ卵サンドイッチ、コーヒー牛乳パック。そしてラヴクラフト。
 日本人の美徳は察しと思いやり、そして適度な無関心だと僕はそう思っている。とはいえ、誰もがそういうわけではなく、僕の姿に気付くと先客は声をかけてきた。
「ねえここ見て」
 もう一人、この場所を知る女の子、仁衛さんが指さす。
 僕はそのとき体育用具室の壁にもたれて座っていた。教室じゃあ本を読むには騒々し過ぎるし、灼けたコンクリートの屋上で昼食だなんて思い浮かべただけでもゾッとする。この場所は風の吹き溜まりになっているらしく夏でも涼しい。まあ、だから来るとも言えるんだけど。彼女が指さしたのは体育用具室の入口近くの木壁だった。
「ここにね、なんか人の形した染みが見えない?」
 やっとのことで僕はページから視線を振り切る。ちょうど《夢書簡》の一節、ラヴクラフトがラインハート・クライナーに宛てた手紙にとりかかろうとしていた矢先だった。彼女にしては珍しくしつこく繰り返すので仁衛さんが示した所を肩越しに眺めやる。ちょっと憮然。あまり興味が沸かなかったのだけど、壁を見せてはロールシャッハ試験の真似事でもさせるつもりなんだろうか? そもそも僕らは不干渉主義を第一に掲げているのに。
「何もないよ、なんにもない。人の形の染み以前に染み自体見当たらない」
 なげやりに僕が言い放ったようにその時染みなんて無かった。木壁は全体的に煤けて、せいぜい特徴的なものといえば、地面との接合部分を、怪奇小説的に気取って例えるなら、アメーバのように毒々しい緑色を纏った銭苔が襤褸衣のごとくこびりついていたぐらいだ。木壁に浮かぶ自然のデザインである木目もこの表現が正しいのか分からないが、至って普通だった。そもそも聞きかじった知識で言うなら、例えば丸が三つ揃えば人の顔として、《ゲシュタルトの一まとまり》と説明できるんだと言ってやりたかったんだけれど。そんな野暮もいちいち面倒くさい。少なくとも僕には彼女の言うような「人の顔をした染み」なんて見つけられなかった。風が吹いているといってもその日は三十度近い、茹だるような暑さだったし、彼女はきっと熱に浮かされてそんな事を言ったのだ、僕はそう思うことにした。そんなことよりさっさと読書戦線に復帰したい。
 否定する僕を横目に彼女は「ここが手、これが顔。あら、この顔ちょっと泣いてるように見えない?」などとあたかもそこに実在しているかのように僕に逐一指さし、少々度の過ぎた身振り手振りで説明してくれる。とはいえ、別に彼女が夏にはお似合いの心霊少女ってわけじゃないだろう。
 周りは痛いぐらいに白く、陽光が降り注いでいる。なのに妙な寒気を覚えて二の腕が粟立つ。日差しが強い所為か、その分、足元から伸びる影は普段よりも数段と色濃い。
 僕は何だか気味が悪くなって、まだ居座りたそうな仁衛さんの袖を引っ張り彼女を無理矢理そこから連れ出した。

 言ってみれば、なんだか奇妙な顔なじみ。
一言付言をしておくけど、仁衛那由子とはそう仲が良い訳でもなく、同じクラスの女の子というだけで、どちらかというとあまり目立つところのない彼女とは、教室では指折り数えるほど話したことは無い。普段、彼女と話すときは決まってあの風の吹き溜まりでだった。そこさえも彼女と一緒に探し当てたのではなく、二人とも別々に見つけて内緒にしていたところ、ばったりと偶然に出くわしただけなのだ。だからあの場所にも誘い合っていく訳じゃない。気が向いたらふらっと赴く。少年漫画なら、闇の生徒会の執行本部があったり、裏番長が喧嘩の花を咲かせてたかもしれない、そんな場所を想像してもらえたら分かりやすい。
 このところの二三日、僕はフェンスを越えなかった。気味悪くなかったと言えば嘘になるけど、「人の染み」以前に中学二年生にもなれば無事に夏休みを迎えるためにはしなければならないことが、学期末テストの勉強などいつか観たB級SFに出てくる雑食宇宙生物に喰わせるほど大量にあるのだ。果たせるならいっそ喰わせてやりたい。奇妙な染みの事など忙しいうちに忘れていった。
 そんなある放課後、
 コーヒー牛乳にしようか、フルーツ牛乳にしようか。ど、れ、に、し、よ、う、か、な。
紙パック80円一つに神様にお伺いを立てるのも気が引けるが、下足室前に備え付けの自販機前で楽しく思い悩む。ささやかな至福。
 結果はさておいて、学期末テストにもようやく目処が付き、後は夏休みを迎えるだけだとホッとしていると、いきなり背中を引っ張られた。気づけば、いきおいで宙を迷う僕の指がボタンの上を滑る。
「……豆乳」思わず声に出る。嫌いじゃないけど選択肢にはなかった。
 引っ張ったのは仁衛さんだった。やっちゃった? という表情でぺろりと舌を出している。やっちゃったよ。
「あのね、最近呼ぶ声が聞こえるの」
「声って何の声がァ?」いささか声が裏返る。彼女がここで話しかけてくること自体が協定違反だとか、80円返せとかそんな言葉を飲み込んで、どうにか僕は問いを彼女に投げ返した。というのも説明に困るのだけれど何だか彼女の態度が上の空というか心ここにあらずといった表情だったからだ。
「うーん、女の子の声ェ」声もいつもに増して何だか頼り無い。地に足が付いてないみたいで。
 まるで、
 そう。まるで夢のなかを彷徨っているかのよう。
「女の子の声って?」
 仁衛さんは「奇妙な染み」を見つけた後も何度か一人であの場所を訪問していたらしい。彼女が言うところによると、ことの始まりは最初に見つけたあの日の夜あたりからのようだった。
 その晩、彼女が寝ていると、不意に名を呼ぶ声がしたという。起き上がり、ベッドの周りを見回したところで誰もいない。またいるはずもない。きっと夢なんだと思い、横になり瞼を閉じてうとうとしかかったとき、再び声が聞こえたのだと。声自体に彼女自身、全く聞き覚えはなかった。不思議に思いつつ床に戻ったのだが、もうその夜は何もなかったらしい。
 ただ、目覚めても消えない夢をみたという。
 誰かが目の前に立っている。
 見覚えの無い少女だった。自分と同い年ぐらい、紺のセーラー服を着た長い黒髪の。
 眩暈を感じるほどの草いきれの漂う、広い……。その少女は凝縮された影の中にたたずんでいた。そう、強い陽射しを受けた建築物が黯く落とす蔭の中に。影を生み出す源は僕たちの知る木造の小さな小屋。
 腰に流れる長い黒髪と紺色のセーラー服とが相まって、小屋の影と少女は混じりあい溶け込んでゆく。ただ、舞い踊る蝶のように胸元で結ばれたリボンだけが見る目に緋い。
 少女はその小さな小屋に近づいていく。段々と扉が近くなる。扉には表札が掛かっていた。しかし、字がかすれていて読み取れない。しかし何故だかそこがあの体育用具室であると仁衛さんには分かった。
 閉じた扉の手前で少女は振り返ると仁衛さんの姿を認めたかのように人差し指を伸ばし、形良い可憐な紅唇を動かす。その声は届かない。でも口の動きで何を発しているのか理解ができた。
 お、い、で、な、ゆ、こ、と。そこで仁衛さんは目を覚ましたという。

「ここからだっけ? 仁衛さんを呼んだのって」
 ホワイトノイズ。遅い梅雨が明けたからか様々な蝉の声がその一帯を囲う。それは耳元で炸裂して周りの音を掻き消す。聴覚を占領され他の音を奪われた僕らにとって逆に言い換えるなら、辺りはしん、と静まり返ったかのように寂寞としていた。さながら混沌から湧き上がる静謐。
 仁衛さんと連れ立って僕はくだんの中庭にまで来ていた。断っておくけど僕自身は怖いもの見たさに服を着せたみたく、物見高い方では決してない。人がどう思おうが、ホラー映画や怪奇小説のお話と現実とは一線を画しているって認識があるつもり。唯物論者を気取る気はないけど、趣味は趣味、現実は現実。
さて、仁衛さんは対照的に夢を見てから幾度もここを訪れていると言っていた。
 声の主の事を仁衛さんは彼女と言った。仁衛さんを彼女が呼ぶのだと。
「一人じゃ嫌だって、遊ぶ仲間が欲しいって」
 だから貴女を呼んだのよ、と。
 横で呟く仁衛さんの顔はひどく虚ろだった。何だか顔色も悪く感じる。
 思わず、大丈夫と声を掛けたらそれを仁衛さんは、信じてないの? と少し疲れた表情で僕を見詰め返した。どうも僕の言い方が、仁衛さんが与太を飛ばしているとして頭が大丈夫、というニュアンスに取れて聞こえたらしい。……まさか失礼な。あえて否定もしなかったけど、性格はソコマデひねくれてない(と思う)。
 この際、僕にとって信じる信じないはあまり関係が無かった。何より、取り憑かれたように、墓場を漂う青白い幽鬼のようにふらふらと歩く仁衛さんの方が余程心配だった。そんなのじゃ見るに見かねる。
「いつもここでなの、彼女とね」
 彼女はすっと人差し指を向ける。二人の目の前には体育用具室。彼女が指さしているのはこの中らしい。しかし、扉には二枚の細長い木板が立て付けてあり、中にはとても入れそうにない。これまで観察したことなんか無かったけれど、よく見れば無数に打付けられた釘や戸の蝶番が、永い間風雨に晒されていた為か腐食し赤茶の錆を表面に吹いている。最近、中に人が入ったような形跡は見られない。
「……この中って言うけどさ」
 指を金具に這わせてみる。ざらざらとした土壁を撫でるような感触であり、爪を立てると理科の実験に使う薄い硝子板のようにさくりと剥がれる。黴の所為なのか、剥離した錆の裏側はぬるりとして爪の先にこびりつく。鉄錆特有の人血の様な臭いが僕の顔をしかめさせた。
 ここを人力で開放するには仁衛さんでは荷が重いだろう。僕にだってそうだ。訪れていると言ったのは夢の中での出来事なんじゃないか。そう思う。女の子一人が夜にやって来て木板を剥がし、また戸を打付けたりなんてそれこそ滑稽なお話に過ぎない。でも、しかし夢ならばもしかしたら……。
 仁衛さんは彼女の言うとおり遊んでいたのかもしれない、それこそ人知れない何かと。
 指先に、しくっと痛みが走った。どうやら先程の金具で指を切ったらしい。爪の間からふつりと赤いものが滲みだす。なんのことはない、鉄錆ではなくぬるりとしたのは自分の血だったわけだ。
「ごめん、ティッシュかなにか持ってたら貸してくれない? 血を止めたいんだけれど」
 その声に返事はない。振り向くと彼女は木壁に手を当て向こうを見つめていた。
「なんだ、仁衛さんいないかと思っちゃった。ねえ仁衛さん?」
 一瞬、全身が総毛立った。振り向いたとき仁衛さんはセーラー服を身に纏っていた。真夜中色の影を切り抜いたかのような。四角く垂れ下がったセーラーカラー、そしてリボンだけがただただ緋い……。
 仁衛さんがいつか話していた、人の形と言っていた何かが木壁から染み出して彼女に覆いかぶさっているかのような、そんなことが頭の片隅によぎる。
 頭上には太陽が燦燦と照り輝いている。なのに身体が芯から冷えた。
 目を擦り、もう一度顔を上げたときには涼しげなサマーセーターに身を包んだ仁衛さんが怪訝な顔つきでポシェットから汚すのが申し訳ないほどに清潔そうなハンカチを取り出して僕に差し出していた。
 夏の制服であるサマーセーターが光を吸収して黒っぽく見えたのは確かだ。
 なら見間違えたんだろうか。いいやと僕は首を振る。見間違いじゃない。だとしたら今のは何だ。改めてもう一度仁衛さんを見る。胸元の淡い起伏が白いセーターに陰影を落としていた。その視線に気づくとそんな僕を見咎めるように彼女は朗らかに笑う。
「駄目じゃない、早く傷口。バイ菌入っちゃうし」
 遅まきながら失態をしでかしたことに気づく。猛烈な気恥ずかしさに苛まれながらも、照れ隠しに僕は彼女の渡してくれた浅葱色のハンカチで指先の血を拭うことに集中した。オーデコロンでも振りかけてあったのか微かに沈丁花の香りが鼻先を漂う。当たり前だけど、何だか女の子っぽい。その匂いのせいか、久しぶりに見た彼女の笑顔のお蔭か、僕の中に渦巻く妙な不安感は薄らいでいった。
 気づけば運動場の方から金属バットが放つ硬質の打撃音が聞こえてくる。蒸し暑い放課後。もしかしたら一雨来るかもしれない。すっかりぬるくなった豆乳を僕は仁衛さんに押し付けた。

 この晩、夢を見た。僕は独り、校庭を歩いていた。風に乗り、誰かを呼ぶ声、そして笑い声が僕の耳に聞こえてくる。見えない誰かが僕以外の誰かに呼びかけている。
 その呼ばれる名の主に僕は聞き覚えがあった。
 彼女だ。その声は仁衛さんを呼んでいた。
 独りじゃ退屈なの、今日もまた遊ぼうね、と。
 はやくおいでなさい。那由子、と。
 僕の名前が呼ばれることはなく、そして聞こえもしない。
 背後から足音が聞こえる。さくさくと土を踏みしだく……。
 足音の正体は仁衛さんだった。
 彼女はスリッパに半袖のパジャマのまま、水色のストライプが涼しげだった。仁衛さんは僕に気が付くと微笑んで腕を伸ばしてくる。そして僕の手を臆面もなく握ると歩き出した。二人して姫葛のフェンスをくぐり抜ける。
 あの場所へ。
 扉の前に辿りつく。しかし扉は閉ざされたままだ。その中から声がする。それは仁衛さんの名を繰り返している。彼女は一度僕を振り返ると繋ぐ手を解き、その声に従い扉の内側に吸い込まれていった。
 扉に手を添えてみるが、しかし何も起こらない。阻む木の板はただ在るがままにその感触だけを僕に教える。独り、取り残された僕はどうすることも出来ずにその場に立ち尽くしていた。
 中から二人分の声がする。一人は仁衛さん。そしてもう一人は。
 昼間見たあの幻影の彼女だろうか? 冬のツーピースを纏った……。
 中から声が続く。しかし僕の名はただの一度も告げられることはない。そしてその事にどうしてか、なぜか僕は安堵を覚えていた。
「こんな時間にまったく……ちょっと起きなさいって」 
 仁衛さんを戸の向こうへ見送ってからどれくらい経っただろう。僕の名前が耳に聞こえて、その呼び声と共に僕は不意に肩口を掴まれ揺さぶられた。心臓が跳ね上がり、思わず反射的に飛び起きる。なんのことはない。気づけばそこはベッドの上だった。
 呼び声の正体は母親で、僕に電話が掛かってきたのだとか。眼を擦りまだ覚めない身体を起こす。枕もとの時計を見やると短針が午前二時を回りかけていた。案の定、母親が不機嫌そうな顔をしている。時刻を考えればそれも分かるけど。喉がからからに渇いていた。夏の不快な暑さだけでは説明のつかない、滲んだ額の汗を手の甲で拭い取り、寝しなに汲んでおいたペットボトルの水で喉を潤す。
 受話器を取ると相手は意外なことに仁衛さんのお母さんからだった。夜分遅くごめんなさいねと口早に前口上を切ると用件を告げた。
 どうやらクラスの連絡網を一軒一軒掛けているわけではないらしい。というのも僕が想像していたとおり、内に篭りがちなところのある仁衛さんは友人関係が活発ではなさそうだったからだ。とはいえ、幾度か彼女は食卓の話題に僕の事を口にしていたらしく(何、話してたんだろう)、やはりそれは秘密の場所を共有しているといった気安さからくるんだろうか。そして娘が口にしていた同級生、つまり僕の家にお鉢が回ってきたというのが事の真相のすべて。
 用件は薄々分かっていた。大体がこんな時刻に掛けてくる時点で、ある予感はあった。
 つまりは彼女がベッドから失踪したのだ。

 陽の暮れた森のように黒々とした中を歩く。活気の満ちた昼間とは違い、おどろおどろしい雰囲気をかもし出すのは校舎の影だ。この場所は当直室の灯はもとより、電灯の瞬きといった些細な恩恵さえも程遠い。その中をゆっくりと確かめるように地面を踏みしめてゆく。夜半に雨でも降ったのか足の裏に伝わる感触はぐにゃりと軟らかい。
 電話のあと、アルカリ水を汲んだペットボトルや防寒用のパーカーなど通学用のデイパックに詰め込む。母親に同級生が行方不明になったとだけ告げて僕は家を出た。心当たりがあるからだ。
 警察にも仁衛さんのお母さんは届出をしたと聞いた。しかし、まだ知れてはいないのだろう、あの場所。一応、電話口では伝えてある。まさか娘が夜中に学校へ百度参りしてるなんて思わないだろうから。
 夜の黒は呼吸をするたびに酸素と共に鼻孔を伝い、器官を通り肺腑を満たすほどに融けた幽暗。昏い闇は行きがけに防災袋から持ち出した懐中電灯の明かりなど容易に呑み込んでしまい、足元は水の上を歩いているかのように朧げで頼りない。
 何かが耳元で囁いた、気がした。言葉にならない、呟きのようなさざめき。立ち止まり耳を澄ませる。夜の学校は冬の雪のように音を吸収するのか。僕が意識した時に、呟きの行方は知れなくなっている。静寂に気を取られ、気がつかなかったがいつの間にか華やいだ音色が耳朶に触れた。
 草土踏みしだく足元から軽やかな雅楽の音が沸き立っている。爪弾かれ清らかに鳴り響く、まるで鈴の宮を思い起こさせる、昼の無礼きわまりない蝉とは違い、その妙なる音色を奏でるのは夜を棲家とする虫たちだ。辺りの静寂に溶け込むようにすう、と流れてゆく。
 ひいひゃらりと神樂笛が旋律を取り、ぴいんと重なる和琴の音に、りん、しゃんと鈴が弾ける。
 肌に感じる夜気は湿気を軽く含んで涼しく、昼間の暑さはない。けれどじっとりと汗ばんでくるのは大気が微かに内包している昼の熱気の所為なのかそれともこれからの何かを暗示する予感めいたものなのか、今は知る由もない。
 いつかテレビで観た奇怪魚の遊泳する深海を彷徨っているようだ。車のライトだろうか、道路を隔てる柵の向こうに見える明かりはときおりウミボタルの輝きをもって淡く視界をかすめ、どこかしら張り詰めた大気は水圧のように重く僕の神経に圧し掛かる。
 頭のどこかで僕以外の人間が仁衛さんを見つけて欲しい、そう願う気持ちがあった。それでいて、僕以外の誰にも仁衛さんを見つけることは出来ないのだという自負めいた気持ちもあった。自分から家を飛び出し学校まで来たものの、僕は本当のところ早く逃げ出したかった。現実感の伴わないこの場所から。
 そういえば、夏という季節は昼が長い分だけ夜の闇も深いのだと聞いたことがある。冬とはまた深さの密度が違うのだとも。それゆえ、真夏の夜は独特の意味合いを持つと。
 前方を照らす懐中電灯の黄色い明かりは頼り無く地面に吸い込まれてしまう。道を覚えているとはいえどうも足元が心もとない。
 読んでこなきゃ良かった。
 丑三つ時という時間帯の所為なのか嫌な空想ばかりが頭をよぎる。今となっては枕元のロバート・ブロックが恨めしい。なんて、ブロック氏には割りの合わない八つ当たり。でも、考えてみれば僕は何を怖がってるんだろう? いくら秘密の場所とはいっても、学校の敷地内にあるということは学校に管理されているということなんだから。どれだけ廃屋にしか見えなくたって、今は廃屋、ということは裏を返せば以前は普通に使われていた場所。学校の一施設として昔子供であった人達の思い出の中にあるような場所なのだし。きっと沢山の記憶が沁み込み含まれているはず。おぞましく思うなんて筋違いだ、僕はそう思いたい。思いたいのだけれど、ろくでもない妄想が次々浮んでは弾ける。
 一歩ずつ着実に歩を進めてゆく。夜の爛熟した大気が壁になって、僕の行く手を阻むかのように、いつもなら何でもない距離が今は途方もなく遠くに思える。自分でもよく分からない。怖気づくとかそういう事じゃないけど、やはり本当は怖いのだろうか。とはいえ、それなら仁衛さんはもっと恐ろしいはずだ。それを思うと不思議にスニーカーが前に出る。
 まただ。
 耳元に届く小さな囁き、そして嬌声。虫の雅楽に混じったそれは、現実味を帯びない夢のように曖昧だ。この幽けく流れる声の持ち主なのか、彼女を誘ったのは。この吸い込まれるような夜の淵へ。
 声に惹かれるのは、それ自体じゃなくて、その姿無きものの正体への好奇心と畏怖かもしれない。密かなそれは魂をも引きつけられる、何処か聞き覚えのある……。
 僕は雅楽と重なるその歌声のような風の囁きに向かって歩んでゆく。何も考えずただそれを聞き歩む。気がつかないうちにまた雅楽の音は始まりと同じく典雅に、か細く凪ぐようにして収まった。辿りついたそこはただ、滔滔と響く声だけが夏の夜を支配している。
 それが決められた合図のように、僕は首をもたげて懐中電灯の明かりを向けた。
 目の前には、件の建物、呼ぶ声の源。体育用具室。僕は姫葛の絡まったフェンス金具の下を潜る。

 内側から声は漂ってくる。以前訪れた時には板が打付けられて潜ることすら出来なかった戸の裏から。
 戒めは解かれていた。しかし誰が、仁衛さん一人の力では到底無理な所業だ。
 いつの間にかすべて吹き飛んでしまった。夜露に濡れた草の薫りや虫の音、そして僕に巣食う恐怖心さえも。ただ、何故だという疑問、真夏の悪夢を解決する答えさえ見つけることが出来るのなら。
 躊躇しても仕方ない。もう、分かっている。答えはこの中にあるのだ。僕は扉に手を掛け、力を加え回し、そして足を踏み出す。自分を鼓舞する為、音高く軋むほど力強く、僕は扉を開け放った。
 古く堆積してきたものが一気に開放されるような圧力を感じ、一歩しりぞく。
 ひやりとした冷気と共にひうるる、と音が円舞する。だのに足元に仄白くうずくまった塵は微塵も浮き上がらない。ただ規則正しく歩幅の分だけ部屋の中心に向かって靴の跡が窪みを創っている。空間が結晶しているかのように固形化し静寂を染み込ませた空気が此処にある。
 重く身体に纏わりつく空気を掻き分けるように目の前を凝視する。人をかたどったみたいな淡い燐光の中に誰かがくずおれている。セルロイドの人形のように冷たい質感を持った彼女が。ざわっと肌の上に粟が生じる。
 水色ストライプの半袖パジャマにクマ模様のスリッパ。
「仁衛さ……」
 名前を呼びかけて、その声を飲み込んでしまう。彼女は独りじゃなかった。
僕には気付かない。彼女はまるでパントマイムの道化にでもなったかのよう、といって必ずしも無言ではなかったけれど。何かに話しかけ、何かの呼びかけを聞き、何かに微笑む。その対象は僕ではない。僕意外の誰かと彼女はいるのだ。扉の外からさえも頬に触れるような風は入り込まない。なのに耳朶に風音が触れる。
 ひうる、ひうる、ひうると奇妙に風が詠う。
 仁衛さんは大気と対話している。いや、風を介して何かと会話しているのか?
 ひうる。ひうる。ひうる。
 目には見えない、僕には見えない何かと。しばしその場で途方にくれてしまった。
 セルロイドのように白蝋のように、抜けるような白い肌。青く、懐中電灯の灯りに反射する仁衛さんの肌。どこか奇異でありそれにも増して綺麗だと。ただ昼には存在しない、幽冥の狭間の色。
存在してはいけないモノなのだとそう思った時、僕は駆け寄って喪失感をともなう色に比例するように冷たい仁衛さんの肩を何度も揺さぶっていた。
「仁衛さん、仁衛さん、いますぐ此処を出よ。夜中にこんなとこ来てちゃ駄目だって。お母さん心配してたよ。迎えにきたんだ。ねえ、帰ろう。送っていくから家まで」
 聞いているのか、それどころか、仁衛さんは起きているかさえ怪しかった。何度揺さぶっても、呼びかけても彼女の目は見開いて相変わらず虚空を彷徨ったまま。恍惚に囚われていて、魂が此の地上にはないと信じる事が出来そうなほど、覗き込んだ彼女の瞳はまったくの空洞だった。僕の存在はその瞳に体育用具室の塵芥ほどに映らなかった。
 青白い燐光、彼女を包んでいた靄がぎゅっと濃くなる。このとき初めて僕は「彼女」の声を聞いた。
 風が凪ぐように、だが有無を言わせないその声は「なぜ邪魔するの」そう言った。
──ただ遊んでいるだけなのに。
──那由子は私を見つけてくれた。声も聞いてくれた。
──だのになぜあなたは那由子を奪うの。
──見も知らぬあなたに。那由子を盗られるの? たった一人の遊び相手を。
 悲愴感に満ち溢れたその声はもはや耳ではなく、直接脳裏を打ち叩いた。震える声に憤りと怒りが内包されていくのを感じる。やがてそれは臨界を超えた。
──そんなのいやっ!
 白く音が炸裂した。ごうっと薙ぎ払われた空気が無慈悲にかなきり叫ぶ。瞬間、身体が浮きあがり、仁衛さんと引き離される。肩口に刃物で削ぐような鋭い痛みが走り、鼻の中をつんときな臭い匂いが漂う。意識が遠くなりそうだ。まともに壁と衝突したのだ。背中を打ち付けて呼吸が詰まる。痛みの所為で意識が逆に冴えるのが恨めしい。とっさに床についた手のひらの下で何かが砕ける。鼠か何か小動物の骨だった。
──なぜ邪魔するの。
 いまや仁衛さんを虜にしていたものははっきりと僕の眼前に姿を成し現れていた。
 長さの測りようもない底知れぬ漆黒の髪が、体育用具室の暗闇と同化し宙に舞い広がっている。
 いつか見た、仁衛さんに纏わる真夜中色をしたセーラー服、そして夜目にも朱い胸元のリボン。僕を睨みつける底のない黒瞳。
──許さない。那由子はわたしのもの。
 口元が嗤う。嘲笑っている。言葉にならない嘲笑が発せられる都度、ぱくりと一文字に裂けて曝け出された咥内は血に塗れたかのようにひどく緋い。何も抵抗出来ない僕に対して、獲物を捕らえた猫の残酷とそれでいて冷え切った怜悧な狂気を内包する眼差しが刺し貫いていく。白痴めいたふしだらさを見せつけるかのように、仁衛さんをその手の中で甘やかに弄びながら。
「仁衛さんは物じゃない。ましてやあんたが自由に弄べる玩具でもない。彼女を心配してる、そんな人らのこと考えたことあるのか? 遊ぶなら一人で遊べばいいじゃないか。生きてる人間を巻き込むな」夢中で発した自分の言葉にゾッとする。仁衛さんと僕との間に立ちはだかっている少女はこの世のものではないのだ。
――そんなこと知ったことじゃないわ。
 嘲笑。
 その都度、千本もの弦楽器の弦線を弾き鳴らしたかのように風が絶叫する。巣食う闇が這い寄る。
 台風さながらの暴風にかかわらず、仁衛さんの周りは塵一つ浮かび上がりもしない。
 体育用具室に這入ること自体が地雷だったのだと僕は今更気づいた。
「仁衛さん! 仁衛さん! くそ、起きろって」
 言葉でいなしながら、どうやって仁衛さんを現実に呼び起こそうかと必死で考えていた。何かつながりのあるものを、現実との接点のあるものは何か……。
 腰がひび割れるように痛い。したたか打ちつけたみたいだ。しばらくは満足に動けそうもなかった。と傍らに落ちたデイパックに目を遣る。サイドポケットから何か出ていた。藁にもすがる思いで反射的に引っ張り出す。
 零れだすように沈丁花の匂いがふっと漂った。ずぼらにも仁衛さんから借りたまま突っ込みっ放しのハンカチだった。浅葱色のそれを「彼女」に見せつけるように振る。
「仁衛さんは親切だよね。こんな僕にも、そしてあんたに対しても、優しく接してくれてる。それを弱みに付け込むみたく取り入るなんて最低だろーが」
 少女をかたどった者がなんと呟いたかまでは僕には聞き取れなかった。ただ陽炎の立つ如く、空間が震える慟哭に揺らめいた。
 仁衛さんを目の前にして、何も出来ないのは悔しかった。良いところを見せようとかではなくって、なんでこんなとこにいてこんな目に遭ってんだろう。目頭が熱くなる。渦巻く大気のてのひらが喉元を締め付ける。
――すぐ済むよ。那由子。
 どこまでも甘やかにしな垂れかかる声。
 擬人化した闇が執行を嬉々と言い放つ。捕食者の顎が僕を捕らえた快哉を謳う。
 風鳴りがいよいよ鋭くなり、全身を真っ直ぐ立っていられないほどの旋風が襲い掛かる。捕殺行為に快楽を覚えているかのようだ。迷惑きわまりない。強がってみても、いまや僕の顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃな状態だった。余りの恐怖感に麻痺でもしたに違いない。自分の身に何が起こっているのかフィルムのひとコマを観察するように目が事態を捉えている。残虐な炎が嘲笑を孕んだ黒瞳の中で踊っている。朽ち縄の如き見えない紐が幾重にも僕を絡めとり圧搾を繰り返す。全身の骨が一本ずつバラバラにされていくような痛み。もう何も考えられない。闇色の風があたかも研ぎ澄まされたナイフの刃となり頬を削ぐ。血の玉が跳ね跳ぶ。
 僕は一矢も報えられなかった悔しさに歯噛みした。
「……めて」
 微かな、だが確実にそれを遮るように声が迸った。同じくして風の切っ先が突如ぶれる。
――那由、子?
 きょとんと拍子抜けたその声は無邪気さの中で戸惑いかすれていた。
 もうやめて、と。僕が固く結んだ瞼を開けると小さな背中で庇うよう、僕の前に仁衛さんが立っている。
 もうやめて、私の友達なの、と。
 あなたは友達が欲しいと言った。わたしもそうありたいと思っていた。なのに私の友達は傷つけても平気でいられるの?

 「彼女」の口元には歪んだといった方が正しいか、泣き笑いの表情が浮かんでいたと思う。自分も余りの痛みに大分意識が混濁していた。ただ覚えているのはくず折れそうになりながら仁衛さんが青ざめた口唇で、「彼女を責めないで、寂しいのは一緒だから。私だって……」こう呟いたこと。僕らを探し求める巡査たちの声。回る赤色灯、甲高いサイレン。
 おそらく仁衛さんは自身と用具室の彼女を重ね合わせていたんだろう。クラスで目立たず友達も数少ない。そんなとき彼女は「視えた」のだ。霊感少女なんて茶化したこともあったけど多少は「感じ」やすい体質だったのかもしれない。それで目に留まった。仁衛さんは寂しい思いをしていた彼女に魅入られた。僕はこう理解している。
 仁衛さんが最初に壁にヒト型の染みを見つけたとき、何故か僕には見えなかった。二人同じ場所にいて、それは僕が仁衛さんのように必要としていなかったからか、必要とされていなかったからなのか、或いは仁衛さんを通してしか顕現できないものなのか。
 八月の登校日を迎えても仁衛さんの姿は教室にはなかった。精神的にも肉体的にもかなり参ったんだろう。静養していると聞いている。僕自身もその日は満身相違、帰宅した途端母親の百面相が待ち構えていた。声をあげて泣いたかと思えば、家まで付き添ってくれていた巡査には噛み付き、そして最後には笑い泣きながら――反抗期ってもんを明らかに理解してない。――そんな僕に振り払う間を置かせず抱きしめてくれた。玄関先でなんとも気恥ずかしい。警察からは色々と聞かれたが結局、仁衛さんについて記憶の錯綜による一時退避的失踪とされた。ある巡査曰く、『なに、真夏の夜の悪い夢さ』要は熱に浮かされ、夢遊病状態であったのだと。
 あっという間に夏休みが消費されていく。その日々の大半を使って、僕は何冊かの本を読み、新聞を広げては図書館の一角を占領していた。いまだ「少女」が何者だったのかすら分からない、分かりようもない。昔を知る先生や旧校舎があった頃の新聞などいろいろ当たってみたけれど、体育用具室があった場所で不遇な事故や事件で女子生徒が亡くなったというようなことは結局、何も調べがつかなかった。
 真夏の夜の悪夢。夢にしては性質が悪すぎるし、そんなのは体の整ったでっち上げだと説明しようもないが、僕にはちゃんと分かっている。節々の痛みがその証明。それでいいじゃないか。ちっともよくないけれど。
 彼女は今でも声が聞こえるのだろうか。やり方は拙すぎるが声の主の気持ちも今なら分かる気がする。
 同じ場所にいて仁衛さんは存在に気付き、僕は呼ばれなかったわけを。
 今なら、僕にも染みが視えるんだろうか。幸か不幸か、あの体育用具室は未だ健在である。何一つ解決しないまま或いはこの時も混沌とした闇はわだかまり、戸口に棲み潜んでいるのだ。この世ならざる少女の形を押し隠して。
 そういえば、自分の殻に閉じこもりがちな仁衛さんが僕をどういう意味で「私の友達」と呼んだのかもひじょうに気になる。え、健全な十四才の思考だ。そうでしょ?
 まずはクラスの連中を引き連れてお見舞いがてら彼女に会いにゆこう。同級生としてだけでなくもちろん友達として。残り少ない夏休みを有意義に過ごすために。

久しぶりの新作。
あとがきを書くような性分ではないですが、ちょっとだけ。
以前に書いた小説をココログ用に改訂する作業をずっと続けていたのですが、第一稿を仕上げた時の10倍近くは推敲に時間を割いていました(こんな調子じゃ連載なんてムリですね……)
そのおかげか、思わぬところで当初は気付かなかったプロットの穴を見つけて塞いだりして。
第一稿ではしごくあっさりした短編だったのだけど、改訂作業の中で《僕》もずいぶんと人間らしくなった、のかな。

怪奇小説は夏のものだ! と思っているわけじゃないんですが、甲斐の書く怪奇小説は夏の話ばかりに偏っている気が。逆に日常小説の方は冬に偏っているような……精神分析してみたいところ。

読後の感想など頂戴出来れば、飛び上がって喜びます。気軽に足跡残していってくださいませm(__)m
それでは、読んでくださった方の時間が少しでも有意義なものになれば幸いです。


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コメント

コメントと共にリンクありがとうございます。

このたび「聲が聞こえる」を読んでくださり感謝します。
詩的。
嬉しい言葉です。以前に風景画という例えをされた記憶があるのですが、詩的と言って頂けたのは初めてでした。
もし詩的であるとするなら、それはラヴクラフトという作家の影響かもしれません。
とりあえず、妄想は豊かに尽きることはありません(笑)

サイト
創作小説と、ココログ小説群と、クトゥルフ神話系読み物で構成されています。
一時でも楽しんでくださると幸いです。

それでは今後とも宜しくお願いしますね。

投稿: 甲斐ミサキ(to touyouさん) | 2006.09.18 06:10

琵琶湖伝にコメントありがとうございました。
リンクはりましたよ。
非常に詩的な表現の連続に驚きました。
きっとイメージの豊かな方なのだろうと
うらやましく思いました。
またサイトの充実度もビックリ。
これからもよろしくお願いします。

投稿: touyou | 2006.09.17 22:39

この度も感想ありがとうございますm(__)m

ライト気味のホラー>
最初はもっと淡々としたお話で、それが凄惨さを表していたんですが、改訂版にするにあたって、随分と日常的な描写を織り込みました。ジュブナイル的になった分、ホラー感は薄れてしまったかもしれませんね。

続き物>
仁衛さんは巫女的気質を有しており、続き物自体はプロットさえあれば書けそうな気もします。
その場合でも、枚数をつぎ込むよりは、連作短編になると思います。
感情移入……。
どんな様相をしているのか描写はしないままで、仁衛さんにいたっては台詞自体が皆無なので、移入度の上がり幅には期待が持てないところ。
この辺り、長編書きのKOFさんには歯がゆいところなのかもしれません^_^;

タイトル……(泣)

カニもグロテスクな生き物なので出すと面白いかも(小説ノートにはカニが死体に群がっている描写の断片があります)。
ホタル……は文月の頃で出しちゃってますしv
答えは
『聲』→『こえ』です。
正解、実はBBSの方で予告編として仮名打ちしてました(気付けないですね;;)。 
 
頭のスペース>
甲斐もワード使いで、改行は融通が利かなくて悩むところ。一応形成し直すのだけれど、ところどころ見落としがあるようです。
ゴメンナサイm(__)m

投稿: 甲斐ミサキ(toKOFさん) | 2005.02.24 02:42

才源さん、感想ありがとうございます。

背筋が寒くなりました>
怪奇小説書きとして、こんなに嬉しいコメントは他にはないですね。
おそらく、《僕》のホラー者の血が騒いだのでしょう。恐いものみたさとはよく言ったもので、結局後悔しちゃってましたけど(笑)

ラブクラフト全集>
甲斐にとっての聖書。
実は、未だに読んでいてスヤスヤ眠れます。睡眠導入剤にはぴったり。
読みづらいですけど、原文自体の難解さをリアルに伝える大瀧氏の名訳ではないかと。

クトゥルー神話>
ちなみに今作。有名な旧支配者の1人を思い起こさせる一文を潜ませています(難易度A)。
お分かりになりますでしょうか?

リクエスト>
嬉しいお言葉です(^^)
色々考えてはいるのですが、どれも形には生らずしまい。また登場するかもしれません。
まずは《僕》に名前をつけないと……^_^;
どんな日常になることやら。

投稿: 甲斐ミサキ(to才源さん) | 2005.02.24 02:20

読み応えのある感想ありがとうー。

一人称《僕》>
結局最後まで《僕》の氏名は出さずじまいでした。未だに彼には名前がありません^_^;

凄く面白かった>
これだけでも十分励みになります(^^)
【風景画】の様な小説>
描写が綺麗……描写は気づけばくどくど書き込んでいますね。
心情とは異なって、怪奇小説は読者さんの頭の中にスクリーン(何に恐がっているのかの絵です)を投影出来なくては意味がないので、書いていて主人公がどういう状態にいるのか分からなく思ったときは、何度も書き直しています。
学校の雰囲気が絵や写真のようにるるがさんに伝わっていれば成功なのかなぁ(難しいね)

長い!>
さすがに此処まで一息に書いたわけじゃ……調子次第では書けるかもしれないけど^_^;
おおよその形が出来るのに、1日。手直しに2,3日から或いは2,3年(嗤)て感じ。
原稿用紙15枚くらいがホントはいいんです。
ちなみに、気が向けばちょこちょこと書き溜めている怪奇小説はさっき勘定してみて、原稿用紙に77枚ほどでしたv

少女>
寂しくて連れて行こうとしたのかは、内緒。
色々考えた結果、わざと曖昧に書きました。自由にあれこれ想像してもらえれば嬉しいです。

男の子が出て来たり>
∑∑(ビックリ記号)
そんな考え方があるのかってちょっと新鮮。見る人によって顕現するものが違う染みはコワイヨ

色々感じていただけたようで、作者として感無量ですm(__)m

投稿: 甲斐ミサキ(toるるがさん) | 2005.02.24 02:00

 ライト気味のホラーですね。
 続き物として展開しても面白いと思いました。
 このスタイルの場合は、枚数使って人柄掘り下げて、感情移入度上げてくと面白いことになってくんじゃないかと
 ・・・・・・なんか偉そうに編集者みたいなこと言い始めてますが、実は。

 タイトル読めてません(泣)

 最初は「カニが聞こえる? ちがう、啓蟄の蟄だ。壁の中から蟲が出てくるんだ」とか、思ったんですが・・・見事に違いますね。
 「肇」違う「馨」違う・・・・・すみません降参です。
 こっそり教えてください(汗)
 
 本編とは全く関係ありませんが、なんかワードからテキスト流し込むと、頭のスペースがところどころ飛ぶみたいですね。本当に関係ないんですが、まえから気になってまして(汗)

投稿: KOF | 2005.02.23 21:51

夜の学校を進む描写、背筋が寒くなりました。
主人公、よく歩みを進めることが出来るな~と、その勇気に乾杯です!
僕だったら、絶対逃げ出している(笑)
ラブクラフト全集、僕も少しだけ持っています。文体が古いので読みづらいですが、それさえクリア出来れば面白い本ですよね。
さすが、クトゥルー神話、生みの親だな~と思います。
リクエストみたいなものなのですが、僕と仁衛さんの「その後」を描いた日常小説も読んでみたいです!

投稿: 才源 | 2005.02.23 16:57

読み終わって、興奮したままなので、意見がうまく纏まらないかもしれませんが………。

トラバとコメントありがとうございます。
しっかり読ませて頂きました♪
やっぱり一人称《僕》は滅多な事が無いと、名前が出ませんね………
凄く面白かった、と言わせればそれだけしか無いんだけどなぁ(汗)
詳しい所に突っ込め、と言われても物凄く困ります。何故なら突っ込む様な目立つ欠点が何処にも無いからです。わたしは、アドバイスを出来る立場ではないし;
前に言っていた、【風景画】の様な小説、という意味が少し分かりました♪ミサキさんは、描写が綺麗なのですねー。
しかも、長い!わたしは此処まで一気に書く根気が無いです。コバルトの短篇賞とか送れちゃう長さ、ですよね34枚って(驚愕。
うっひゃぁー、尊敬です。

少女は、寂しくて那由子を連れて行こうとしたのですね。意識の連鎖。辛い気持ちがいまにも伝わってくる様な感じがします。
とにかく、面白かったです。
《僕》にも染みが見える様になったら、今度は男の子が出て来たりして。
怪奇小説、でも色々奥が深いなーとか、心理描写や情景描写が上手い、とか寂しい小説な感じがする、とか色々思いました。

本当、上手く纏まりませんが…。
また遊びに来るです♪

投稿: るるが | 2005.02.22 16:24

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