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2005.02.16

普遍的な無個性

トラバを頂いた「文字書きわーるど♪」さんの「人称の扱いについてのあれこれ・・」に対して、またもや考察。以下はhiroさんの記事から引用。

描くとき意識しているのは、物語の背景をあまり詳しく描写しすぎないこと(そのほうが読んでる人が感情移入しやすいかなと・・。)。と、物語の筋そのものより、登場人物の個性を生かすことを考えながら書くこと

おっしゃっているのは、人物の相関図などの小説の背景といった意味合いと捉え、それとは多少ずれるのですが以前、
「甲斐の書く小説は風景画やね」って言われたことが。
情景描写がやたらと多いことを指摘されたのと、登場人物の個性よりもプロット自体を重視している書き方になってしまうので、人物が無個性になりがちで、風景の一部や記号のようになってしまうみたいです。hiroさんとは真逆。
舞台に例えるなら、動き回る俳優ではなくて、オブジェや、舞台装置のような扱い方といったところ。
どうやら、これまでの読書遍歴に要因があるらしく、すぐに短編書きやショートショート書きならば、神にも等しい1人の偉大なるショートショート作家の名前が脳裏に浮びました。
そう、星新一氏です。
「エス氏」や「エフ博士」といった人物の名前を記号化し、一般に考えられる小説観とは随分と異なる、星氏の無個性といえる描写の必然性について、星氏のエッセイ、「人間の描写」から長い引用をさせていただきます。
「いつのころだれが言い出したかは知らないが、小説とは人間を描くものだそうである。奇をてらうのが好きな私も、この点は同感である。評判のいい小説を読むと、なるほどそのとおりである。しかし、ここにひとつの疑問がある。人間と人物とは必ずしも同義語ではない。人物をリアルに描写し人間性を探求するのもひとうの方法だろうが、唯一ではないはずだ。ストーリーそのものによっても人間性のある面を浮き彫りにできるはずだ。こう考えたのが私の出発点である。
 もっともこれはべつに独創的なことではない。アメリカの短篇ミステリーは大部分このタイプである。人物を不特定の個人とし、その描写よりも物語の構成に重点がおかれている。そして人間とはかくも妙な事件を起こしかねない存在なのかと、読者に感じさせる形である。おろかしさとか、執念のすさまじさとか、虚栄の深さとかがそれでとらえられているのである。(中略)ある人には歓迎されたが、はじめのころは<話は面白いが、主人公の年齢や容姿がさっぱりわからぬ>と首をかしげた編集者もあった。(中略)
 すなわち人物描写に反発するあまり、主人公がほとんど点と化してしまった。私がよく登場させるエヌ氏のたぐいである。(中略)また、なぜ名前らしい名を使わぬかというと、日本人の名はそれによって人物の性格や年齢が規定されかねないからである。貫禄のある名とか美人めいた名というのは、たしかに存在するようだ。(攻略)」

もちろん、これは短篇や、ショートショートに当てはまる考え方だと思います。
長篇であるなら(新本格派推理小説作家のようにトリックが全てだ! だなんて仰る方は星氏の系統ですね)、プロット組みと同じかそれ以上にキャラ立てをしっかりするべきだと思うし。
……人によっては登場人物の履歴書を作ったりもするらしいです。ホントなんでしょうか。

甲斐は、星氏ほどに悟ってはいないので、登場人物に名前はつけてと言いたいところですが、一人称を《僕》と決めたら、その彼には名前がよっぽどのことがない限りつかなかったりします。ずっと《僕》。
……え? まさか名前を考えるのがメンドクサイだなんて思ってませんよ^_^;


(この記事は文字書きわーるど♪さんとるるが株式会社さんのお二方にトラックバックさせてもらってます。小説談義は相手あってこそ花が咲くもの。感謝)

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コメント

るるがさん>
インフルエンザじゃなくて、良かったですね。
るるがさんところの更新が途絶えてると何かあったかな、って思っちゃいます(甲斐の場合は半年ほど放置してたりするけど;;)
星新一さん>
彼の作品は、教科書で読んだりすると思います。
読書好きの家系に育ったら、それこそ自然に手元にあるかもしれません。

情景描写や心理描写の割合>
どちらか一方にわざと偏らせた話も面白いかもしれません。甲斐自身も誰かに文章を読んでもらって、初めて「ああ、こんな風に読まれてたんだなー」って思うので、あんまり自覚はないんです。
とっても綺麗>……照れます^_^;

自分の小説に感想を貰いたいと思っているから、なるべく他の人の作品にも出来るなら感想をつけようと考えています。そうすることで交流もうまれることだし。
と言っても、小説の添削って、なかなかムズカシイ(苦笑)

投稿: 甲斐ミサキ | 2005.02.20 00:20

星新一さんは、わたしも好きです♪
母や父の時代にも読んでる、と言ってましたです。

こんばんはぁー。
るるがです。トラバは、後ほどさせて頂きます♪
昨日まで風邪で寝込んでいて、(でも微妙にインフルエンザでは無い)2日パソコンをやってませんでした…。コメント、溜まってるし。更新してる所は覗かなければ!

名前をつけない、っていうのも良いかもしれません。
やっぱり名前のみで、その人が決められちゃう、みたいなのが少しばかりあるのかな?と思いますし…。
う〜ん、トメって言われたらおばあさんを想像してしまうのは、わたしだけでしょうか?でも、名前から連想して一番に思いつくのが、【おばあさん】だから、その辺りは星新一さんの意見が最もだな、と感じます。

情景描写が多いのも、素敵だと思います♪
人物だけだと、単調な文章になってしまうと思うし、逆に情景描写が多すぎるのも、退屈になってしまうのかなー、と思います。
わたしは、ミサキさんの小説の情景描写、とっても綺麗だと思います♪まさに風景画、って感じです。
わたしは、あまり指摘を受けないので(面と向かって「これ読んで、感想聞かせて」とか言えないです…)分かりませんが、というかわたし自身もよく分からないのですが、情景描写が多いのでしょうか?心理描写が多い、かな?
やっぱり丁度いいバランスにしないと、ですね。
わたしもまだまだ努力する事がたくさんです。頑張ります。退化だけはしない様に……。

小説談義は相手あってこそ花咲くものですねー。わたしも毎度感謝してます♪後ほどトラックバックさせて頂きますー

投稿: るるが | 2005.02.18 20:53

才源さん>
人称の扱い一つとっても色々な書き方があって、今回はここを訪問してくださってる方々にリサーチをかけて、色々吸収してやろうって悪い魂胆です^_^;
トラバやコメントを頂けて記事を書いた甲斐がありました。

hiroさん>
毎回のトラバ、あまりの喜びに声も出ません(文字は打てますから 笑)
トラバ>
ちゃんと送れたかは元記事にアクセスしてトラバの新着を確認すればいい話なんだけれど……。
改めてTB送信させていただきますm(__)m

呪怨>
俊雄君にメロリ。布団めくったら、さりげにうずくまってる俊雄君。可愛すぎです。
甲斐は劇場で「呪怨」も「呪怨2」もしっかり観てます。今夜はこれからハリウッド版の「THE JUON」を観に行く予定。また会える!(^^)!

投稿: 甲斐ミサキ | 2005.02.18 18:26

すみません。またまたトラバ送ってしまいました(///ω///)
こちらからのトラバきてないみたいなんです…(´Д⊂グスン うち時々そーいうのあるんですよーなんでなんだろう?にふてぃーさんに嫌われてるのかなー…(´Д⊂グスン(w
すみませんが、お時間のあるときにでももう一度送っていただければ助かります~!

一昨日「呪怨」みてから、怖くて押入れがあけられない小心者hiroでした((^┰^))ゞ

投稿: hiro | 2005.02.18 17:20

いろいろな小説の書き方があるものだな~と感心しました。
自分の書き方ってどんなだったかと思いまとめて記事を書いてみました。
TBもさせていただいたので、よろしければ読んでみて下さい♪

投稿: 才源 | 2005.02.18 13:24

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