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2005.02.15

思わぬ伏兵《一人称》

聞くところによると、甲斐の書く小説群はプロットや小説内容に沿って、文体を色々変えているので一見さんにはまさか同一人が書いているとは思えないらしいです(ある意味成功?)。
通して読むと同じ言い回しやら似通った単語(例えば「名状しがたい」「這い寄る混沌」……趣味丸出し)が出てくるので、すぐソレと知れるそうですが(笑)

ところで、甲斐の頭を悩ませているのが人称の扱い方。
三人称と一人称、どちらが書きやすいかは人によると思うけど、特に苦手意識はなし。
贈り物製造機」では、

おっと顔は見ないでくれよ。まぁ見られたからといって困るツラじゃないがね。しかしお前さんもよくオレ様の居場所が分かったもんだ。なに! そうか……あのバーサマかい。喋りな奴だよ。一遍絞めとかなきゃね。いやいや、別に殺しゃしないよ。お灸をちっとばかし据えるだけさ。

と、語りかけ口調の対話形式で進行。
カモナ-ヘルハウス」の冒頭では、
余は思ふ。生れ落ちたとき既に、余は此の屋敷に居たのだと。故に此の屋敷の主であるのだと。余に名前など無い。此の屋敷に於ひて余が全てであり、余に分からぬことなどないのであるから。名など余にとつては必要としないものなのだ。此の屋敷はいつからあるのだらふか。心無い輩どもが屋敷のことを猟奇の館などと呼称してゐるのを耳にした憶えがあるのだが、余の創造主は其の名を甚く御氣に召してゐるやふだ。

プロットの関係上、館の主の独白をを文語体に。

メッセンジャーで、小説談義をしていて気づいたのだけど、今、書きあぐねている小説の主人公について。
Tさんが「こんな中学生いたら無条件で張り倒してやる!」とのひとこと。
……無条件で張り倒されるのは御免なので、そのわけを訊ねると、
Tさん曰く、「どんな状況でも冷静に描写し、小難しい言い回しをする中学生は嫌だ」やら「無自覚な虚無加減は信用できなーい」とか。
あー、なるほどと。書いていると自然でも、読むと不自然に見えるのかも。目からウロコ。
文月の頃」もなるべく意識して書いていたのだけれど、何を意識していたかと言うと、

小学生の一人称であるなら、その年齢では習わない、もしくは使わないだろう漢字や言い回しはなるべく避ける。

実際のところ、小学生を意識した文体がどれだけの効果を出しているかは測りかねています。例えばるるが株式会社のるるがさんはリアル小学生でありながら豊富な語彙を駆使して小説を書いてらっしゃるし……。

でまぁ、今回の小説で齟齬をきたしている一番の理由が、「僕」の語る情景描写に全ての原因があると思われ、一人称でたんたんと怪奇描写を成し遂げる中学生ってどんなだ、と(次回UPは、怪奇小説)。
例で一部を取り上げてみる。

木壁は全体的に煤けて、せいぜい特徴的なものといえば、地面との接合部分を、怪奇小説的に気取って例えるなら、アメーバのように毒々しい緑色を纏った銭苔が襤褸衣のごとくこびりついていたぐらいだ。木壁に浮かぶ自然のデザインである木目もこの表現が正しいのか分からないが、至って普通だった。

……中学生が情景を説明する独白にしてはくどい気がする。
いっそのこと三人称に切り替えてしまえば、《神視点》で複雑怪奇な描写書きまくりなんだろうけど。
苦肉の策で、主人公を読書家(主に怪奇小説)の少年にしてみました。
自分が直面した状況を回りくどく、怪奇小説(某ラヴクラフトのような)風に説明しないではおられない少年。
カッコイイ!!

えーと皆様。小説を書くとき、「人称」の扱いについて心がけていることなどあれば、教えてくださると嬉しいです。

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コメント

龍3さん、こんばんわ。
人称の特徴紹介、ありがとうございます。
短篇の名手とは聞きながらも、これまで阿刀田高さんの著作には目を通したことがなかったりします^_^;
読もうかしらん。

レイ・ブラッドベリ>
こちらはラファティと並んで、大好きなSF作家さんです。
「集会」や「十月の西」といったとある吸血鬼一族の《ファミリーもの》を何度も読み返しています。
「夜」>
知らないお話でした。手元にある著作の中には見当たらなかった……。折角教えていただいたので、探してみようと思います。二人称にも興味があることですし。

投稿: 甲斐ミサキ | 2005.02.18 18:37

こんにちは。
集英社新書の「短編小説のレシピ」という本で、著者の作家・阿刀田高さんが興味深いことを書いています。

☆一人称は現実感が出しやすい。怪談などは「私が体験した」と伝えるのが圧倒的に迫力がある。
☆三人称はストーリー性に富んでいる。大掛かりのフィクションに向いている。

そして、
☆小説で「二人称」はめったに用いられないが、読者の胸にいきなり飛び込んでしまうところに特徴がある。
と述べられ、そんな特異な小説の例に
レイ・ブラッドベリの短編「夜」を挙げています。その冒頭は
「あなたは田舎町に住む小さな男の子。正確に言えばあなたは八歳。今はもう世ふけ。・・・」

そんな書き方を考えもつかなかったので面白かったです。

投稿: 龍3 | 2005.02.18 14:19

お二人とも、超速のトラバ&コメントに驚愕してます(笑)
感謝

hiroさん>
いえいえ、長いコメントも大好きです(^^)
鼻の周り>
爪で挟むとペリッとカサカサ皮が剥がれるんですよね;;
保湿して労わってあげてくださいませ。息子さん共々お大事に。

そういえば甲斐はドラマって観ないです。
ニュース以外じゃ「きらきらアフロ」くらいかも(偏り過ぎ)。

るるがさん>
「小学生の思考に基づいた文体」って書こうとして、るるがさんに思い当たりました^_^;
甲斐も、今だに記事内容についてぐだぐだな状態なので、まったく問題ないです(笑)

投稿: 甲斐ミサキ | 2005.02.16 03:19

こんばーんわっ。
トラックバックさせて頂きました♪
わたしの事を載せて頂いて嬉しいですー。
なんかぐだぐだと書き連ねてしまいましたが、宜しくお願いします。

投稿: るるが | 2005.02.15 22:12

こんばんは(*⌒▽⌒*)
コメントさせていただこうかと思ったのですが、長くなってしまったのでトラバさせていただきました(*- -)(*_ _)ペコ
息子と二人風邪引きで、ボックスティッシュを間に挟んで鼻をかみながら「救急救命病棟・・」を観ていますw親子そろって鼻の周りがカサカサで、大変なことに鳴ってますーー…(´Д⊂グスン

投稿: hiro | 2005.02.15 21:38

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