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2004.02.05

架空の町

江國香織さんの短編小説は無名都市の連なりである。
こう書くとなにやら硬いですが、例えば、彼女の作中にはアパートがぽん、と出てきたりします。
でも、それが何処にあるのか分からない。

『「何となく」というような曖昧さを、慎重に、大切に扱っている』

と作家の関川夏央さんが評していて、成る程と頷いてしまいます。
或いは登場人物の心の機微、物語を丁寧で描く上で、建物が『~の…にある』なんてのはあまり必要ではないのかもしれません。……まぁアパートの一室で一切が進行する話であれば、外がどんな地名か、だなんて必要ないでしょうけども。
甲斐の場合、そこまでの境地には達していないので、ほとんどの小説には有機的繋がりを持たせています。
アイスクリームのトッピングみたいなもので、無くて困るわけじゃないけど、あれば美味しい。固有名詞を入れることで、伏線というわけではなく、話に味付けが出来たらとの目論見。
例えば、作中で図書館が出てきた場合、閉館のテーマは『蛍の光』ではなく、ドヴォルザークの『新世界』なのです。
連作とは限らず、作中人物が働いている喫茶店に、他の作品の人物がお茶を飲みに来るとか。喫茶店の名以外に直接の繋がりが無くとも、『以前どこかで見た名前だな』とチラリと脳裏をよぎってもらえたら大成功。

まず、その町ありき、といった某魔界都市のように大層なものではないけれど、小説を書く毎にお店の名前や通りの名称が増えて、自分だけの町並みが少しずつ見えてくる。
……ってほとんど自己満足の世界ですね(苦笑)

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